ケース1
40代 女性
2016年8月来院
左股関節と左のすねが痛いとの理由で来院。当初は右の股関節痛が数年前から始まったと仰る。来院初回時には歩行も困難でようやくなんとか歩けるようになったと話す。
重心が大きく右側へシフトし、左踵が十分着床しない状態。歩幅は非常に小さい。
治療と経過
3回目の通院から少しづつ本人から痛みの軽減と可動域の拡大が認識される。その後も少しづつ痛みの緩和と可動域の改善が見られ、8回通院後は多少の右側への姿勢のシフトを除き、左足すね、股関節の激しい痛みがほぼ消失したと嬉しい報告を受ける。ヒヤリングの徹底で普段もヒール靴を履き、仕事中(休職前)もヒールでの荷物の棚卸し等を頻繁に行なっていた事を確認。痛みの根本原因を伝え、身体に負担のかからない靴の着用も同時進行させた。
主な改善策
Therapeutic exercises(rotation, etc)
PIR
Passive stretch
etc
考察
ヒールを履いたうえでの急な動作や加重での歩行が、内旋筋群の炎症の慢性化が主な理由と考える。当初見られた左足踵が着床しないのも右側への過度なシフトのためであった。適切な可動域改善と自宅で可能な運動療法の指導、正しい靴の着用のアドバイス等が大幅な改善を可能にした。来春には痛みで退職した仕事に復帰する予定と聞き本当に嬉しく思う。
ケース2
60代 女性
来院 2016年4月
左股関節と左側のお尻から下のしびれが強く、病院でもいくつか診てもらっても一向に改善せずにいたところ、当院のチラシを見てお越し頂いた。仕事がほとんど椅子に座りっぱなしで,運動もほとんどされないと話を聞く。
治療と経過
外反母趾が両足にあり、左足の足の内旋が歩行時に強いことが確認できた。股関節の可動域、左右差の改善と、足元の不安定具合を改善することを初回から実行する。ご本人様曰く、初回終了後から痛みの改善が徐々に見られ、6回終了時には歩行も非常にズムーズになり、勤務時の痛みがほとんど無くなったと言われる。また、自宅で可能な運動療法や、正しい靴の選び方も並行して指導させて頂いた。
ご自身の再発を防ぐ強い意志のもと、現在でもメンテナンスとしてつき1−2回の通院して頂く。
使用した治療法
Passive stretch
PIR,
Therapeutic exercise
考察
こちらの指導を素直に取り組んで頂き、股関節痛と姿勢の左への傾きによる神経障害も改善した。やはり、施術時間とそれ以外の普段の生活(姿勢、運動)でのネガティブな動きをいかにコントロールするかも重要であると再認識させられた。
ケース3
男性40代 会社員
来院 2015年10月
左股関節の痛みを訴え、来院される。
出張が頻繁にあり、その度に痛みがあり、また座っている時にも痛みが続くという。
治療と経過
歩行の不安定と股関節の可動域減少と筋力低下が著しく、その回復に努める。しっかり定期的に来て頂き、8回目来院時には痛みもほぼ無くなり、歩行ストライドも大幅に改善していた。その後も間隔を空けながら通院頂き、現在も痛みは無いとの報告である。
治療法
Manual contact
PIR
Therapeutic exercise(QL,B-dog,side bent,etc)
考察
歩行時に、両足の接地が不安定であることが確認される(特に左)。また股関節に多大な作用をもたらす中臀筋の筋力低下が確認された。
ケース4
50代女性
来院2014年12月
右股関節痛と右膝の痛み、足のしびれを訴え来院。30年ほど引きこもりがちで、実家の両親の面倒を見るだけの生活をしているという。高血圧もあり、体全体が疲れやすいこともあり、お体全般の改善を強く望んでいた。
治療と経過
背部から腰部にかけて筋の拘縮が見られる。大腿部、腸腰筋等の可動域制限強い。また、歩行時に左足の回外が強く、大腿骨の内旋が過度であるため、右側への体重のシフトが見られる。このため、右側の股関節、膝等への負担を増大させている状況。
初回から、筋の弛緩の重要性を説明。そして毎週の通院と半年からそれ以降の中長期的な改善計画が必要とご理解頂く。
5回目終了時から、患者様の階段等での支障が少しづつ感じなくなったとの報告。しかしながら、歩行は未だ十分でなく、家の周囲200−300メートルを何とか歩ける程度と仰る。
12回目終了時には、運動療法を加え、固有受容器含む、足元からの安定性と体幹の改善をはかる。
半年後には姿勢の大幅な改善と、患者様本人が並行して通院していた医師から“股関節痛が完治した“と言われたとの報告を受ける。歩行距離も大幅に伸び、自宅から当院約1キロメートルを歩いて通えるほどとなった。その後も患者さまの希望で、引き続いて姿勢保持と、歩行改善のため通院を約3ヶ月続けた。
使用した治療法
Passive stretch
PIR,
Therapeutic exercise
考察
身体の症状は包括的に観察することが重要であるが、このケースはまさにその典型である。当初は非常に歩行状態が悪く、右側への重心のシフトが過度に見られたが、本人の強い意思もあり現在は20年以上の実家での両親の世話だけでなく、仕事を始めているという報告を頂く。これ以上無い喜びである。